宇宙・惑星

🚀 宇宙は無重力ではない!誤解されがちな「重力」の真実

宇宙飛行士が船内でフワフワと浮いている映像を見ると、「宇宙は無重力(ゼロ・グラビティ)だ」と思いがちです。しかし、これは大きな誤解です。宇宙、特に国際宇宙ステーション(ISS)が周回している軌道上でも、重力は存在しています

では、なぜ宇宙飛行士は浮かんでいるのでしょうか?その現象の本当の正体と、重力に関する真実を解き明かしましょう。


🌍 宇宙にも重力は存在する

 

多くの人が「宇宙=無重力」と誤解していますが、それは全くの間違いです。

1. ISSにも地球の重力は強く働いている

 

国際宇宙ステーション(ISS)は、地上から約400kmという比較的低い軌道を周回しています。この高度での地球の重力の強さは、**地表の重力と比べて約90%**もあります。重力がゼロどころか、ほぼ地表と同じ強さで、ISSとその中のすべての物体を地球へ引きつけているのです。

2. 月の重力も地球の軌道に影響を与える

 

さらに、遠く離れた太陽の重力も、ISSの軌道や地球全体の潮の満ち引きに影響を与えています。宇宙のどこであろうと、質量を持つ物体が存在する限り、重力は無限に及びます。


💫 浮いている理由:無重力ではなく「微小重力」または「自由落下」

 

では、なぜISSの宇宙飛行士はフワフワと浮いているように見えるのでしょうか?その現象の正体は**「自由落下」または「微小重力(マイクログラビティ)」**と呼ばれます。

1. 浮遊の正体は「落ち続けている」こと

 

ISSが地球の周りを周回しているのは、非常に速いスピード(秒速約8km)で水平方向に進みながら、同時に地球の重力で下向きに落ち続けているからです。

  • ISSのスピードが速すぎるため、地球の丸みに沿って落ちていき、決して地面にぶつかることはありません。

  • ISS自体も、中にいる宇宙飛行士も、すべてが同じ速度で地球に向かって落ち続けている状態(自由落下)にあるため、互いに重力が働かないように見え、フワフワと浮いているように感じるのです。

これは、エレベーターのケーブルが切れて、乗客もろともエレベーターが落ちている状態と似ています。乗客がエレベーターの床を押す力がなくなるため、浮いているように感じます。

2. 微小重力環境

 

この自由落下状態によって、船内で感じる重力はほぼゼロに近くなります。この環境を、科学用語では**「微小重力環境(マイクログラビティ)」**と呼びます。わずかに残る空気抵抗や機器の振動などが原因で、完全にゼロにはならないため、「無重力」ではなく「微小」という言葉が使われます。


🧐 まとめ:宇宙の重力に関する正しい理解

 

宇宙旅行やSF作品の影響で、「宇宙=無重力」という誤解が広まっていますが、これは物理学的には正しくありません

用語 意味 現実
無重力 (Zero Gravity) 重力が全く存在しない状態。 宇宙のどこにも存在しない。
微小重力 (Microgravity) 非常にわずかな重力しか感じられない状態。 ISSでの実験環境の名称。
自由落下 (Free Fall) 重力以外の抵抗がない状態で、落下し続けている状態。 ISSの浮遊現象の真の正体。

宇宙飛行士が浮かんでいるのは、彼らが地球の重力から解放されたのではなく、地球の重力によって地球の周りを猛スピードで落ち続けているという、壮大な物理法則の結果なのです。この事実を知ることで、夜空に浮かぶISSを見る目が、少し変わるかもしれません。