気象

地面から雷!? 実は身近で起きている“上向き放電”の不思議

「雷は空から落ちてくるもの」

多くの人がそう思っていますよね。ところが、雷は時に地面から空へ向かって伸びることがあります。まるで地面から雷が生えてくるような光景です。

実際にこの現象には科学的な名前があり、世界中で観測されています。今回は、この不思議な“逆向きの雷”について分かりやすく解説します。


■ 雷が地面から出ていくように見える理由

雷は「空 → 地面」だけではなく、「地面 → 空」へ向かうケースもあります。

これを**上向きリーダー(Upward Leader)**と呼びます。

● 上向きリーダーってなに?

雷が発生するとき、空と地上の間には強い電界ができます。電気が通りやすい物体(高い建物、鉄塔、風車など)の先端では電界が特に強くなり、そこから空へ向かって放電が伸びることがあります。

結果として、

「地面から雷が飛び出した」

ように見えるわけです。

実際の雷は複雑で、空から伸びる放電(ステップトリーダー)と、地面から伸び返す放電(リターンストローク)がぶつかって巨大な光になることもあります。


■ どんな場所で地面からの雷が起きやすい?

上向きの雷は、以下の場所でよく観測されます。

  • 高層ビルの屋上

  • 送電線の鉄塔

  • 風力発電の風車

  • 山頂付近の施設

こうした環境は空気の絶縁が破れやすく、電気が逃げるルートとして利用されるためです。


■ 実は見たことあるかも?

稀ではありますが、地上から空へ向かう細い放電が写真に収められることがあります。雷の動画をスローモーションで見ると、地面側から光の筋が上に走っているのが確認できることも。

ニュースなどで「ビルから雷が出ているように見える映像」が流れるのは、この現象です。


■ 上向き雷は危険?

結論:とても危険です。

普通の雷と同じく高電圧・高電流が流れるため、鉄塔や建物が受ければ損傷の原因になります。また、付近にいる人も感電のリスクがあります。雷注意報が出たら、やはり屋外で高い場所に近づくのはNGです。


■ まとめ

  • 雷は必ずしも“空から落ちてくる”とは限らない

  • 強い電界ができると、地面側からも放電が伸びる

  • 高い建物や風車では特に起こりやすい

  • 危険性は普通の雷と同じ

「雷が地面から出てるように見えた!」という現象には、きちんとした科学的理由があるのです。もし雷の動画や写真を見る機会があれば、ぜひ細い光が上へ伸びていないか注意してみてください。意外な発見があるかもしれません。